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過去最大の転作に対応

農業共済新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 農林水産省は11月25日、主食用米の需給安定に向けた対応方向を自民党・農業基本政策検討委員会に示した。2021年産での転換拡大に向け、輸出用米や加工用米、麦・大豆、高収益作物の作付け支援を拡充。飼料用米の手取り確保では、災害による減収時の生産コスト支援のほか、都道府県が独自支援を講じる場合に、拡大面積に応じて国が追加的な支援を講じる措置を創設する。主食用米の需給安定には、過去最大規模となる6万7千f(生産量36万dに相当)の作付け転換が必要とされ、飼料用米などへの転換に安心して取り組める環境整備が求められている。新型コロナウイルス感染症に伴う中食・外食需要の減少も続いており、需要拡大や販売促進にも取り組むとしている。

 21年産の転換拡大支援では、輸出用米や加工用米、高収益作物などの取り組みを促す特別対策を措置する方針だ。生産者には、実需者との早期の結び付きや低コスト生産技術の導入を要件に、掛かり増し経費の相当分を助成。米は直播栽培や土壌分析、麦・大豆は排水対策や団地化の推進、高収益作物は生物農薬や防虫ネットなどを想定する。20年度の第3次補正予算に盛り込み、水田活用の直接支払交付金に上乗せする。
 飼料用米への転換の推進では、都道府県が転換拡大に取り組む農家を独自に支援する場合に、拡大面積に応じて国が同額を追加的に支援する仕組みを創設する。産地交付金の都道府県枠を現行の1.5割以上から原則として2割以上に拡大し、都道府県主導の対策を後押しして、単位農協に出荷しない農家にも転換を促す。
 水田活用の直接支払交付金での飼料用米の支援は、減収で交付単価が下がっても手取りが確保できるよう拡充する。自然災害に遭っても標準単収以上の収量が確実だった場合は、生産コストを埋める支援として、10e当たり8万円を助成する方向で財務省と調整している。
 新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込む中食・外食向けの需要拡大策では、インターネットを通じた販売の送料支援や販促キャンペーンの米の購入費用の助成を検討する。米穀周年供給・需要拡大支援事業による保管経費の前倒し支援なども盛り込んだ。
 対応策の財源は、第3次補正予算と21年度当初予算を合わせた「15カ月予算」として確保する。21年度予算概算要求で3050億円を計上する水田活用の直接支払交付金の「前倒し対策」と位置付け、水田フル活用が実現できる予算を確保したい考えだ。
◎水田直払の恒久化/自民が政府に要請
 自民党は同日、農林関係合同会議で、21産米の需要に応じた生産対策などの推進を政府に求める決議を採択した。主食用米の需給と価格の安定には、国、地方公共団体、産地・生産者が一体となって需要に応じた生産・販売に取り組むことが重要と強調。第3次補正予算や21年度当初予算で万全の対策を講じるよう要請した。
 水田活用の直接支払交付金については、生産者が安心して非食用米や麦・大豆などに取り組めるよう「交付金単価の水準など基本的な仕組みを維持しつつ、必要な予算を恒久的に確保すること」と明記した。生産者の経営安定のためのセーフティーネットとして措置する収入保険などへの加入を引き続き推進することも訴えた。
◎解説/安心できる米政策確立を
 農林水産省が示した対応策では、主食用米と非主食用米との手取り格差などの課題に一定の効果が期待される。一方で、第3次補正予算や21年度当初予算については財務省との調整が続いており、助成単価など詳細の提示は持ち越された。
 産地では今後、作付け計画の策定に向けた話し合いなど21年産の準備が本格化する。生産者がメリットを実感し、安心して転作に取り組める支援策の早急な具体化が求められる。
 自民党の協議では、水田活用の直接支払交付金など予算額の万全な確保を求める声が相次いだ。産地交付金の都道府県枠の拡大では、コロナ禍による財政の悪化を踏まえ、地方交付税など財政面での支援を訴える意見も出た。
 また、21年産の特別対策は、第3次補正予算による手当てであり、次年度以降の措置は不透明だ。主食用米の需給と価格の安定を実現し、水田フル活用を継続していくためには、生産者や産地が取り組みやすく、展望を持って営農ができる十分な予算の確保が欠かせない。過去最大規模の作付け転換に対応し、持続可能な水田農業を確立できる政策の確立が求められる。