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明渠の機能を最大限に

農業共済新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 水田転作の麦生産で、排水対策の基盤となるのが圃場に溝を掘る「明渠(めいきょ)」だ。しかし、「せっかく明渠を設けても、施工の失敗などで機能していない例も多い」と農研機構の渡邊和洋東海輪作体系グループ長は指摘する。地表面だけでなく作土層からも水が流れるように、深さ・傾斜の確保や排水口部分の深掘り、栽培期間中の補修などが重要となる。

 渡邊グループ長は「池のように水がたまる明渠は、効果がほとんど出ていない。あくまで、川のように水田外へ水を流すのが前提」と説明する。明渠の機能が適正な場合、周囲からの漏水などがなければ、100ミリ超の大雨でも降雨後2日ほどで水が流れていく。反対に、明渠に水がたまったままであれば、効果は不十分と判断できる。
 圃場表面が乾いていても、作土層に水が停滞していれば湿害を引き起こす。ロータリー耕の場合、麦の根が届く作土層は深さ15〜20センチほど。降雨後2日間で作土層の滞水が解消しないと、減収につながる。作土層から排水を促すために、明渠は最低でも深さ20センチ、可能ならば30センチを目標とする。
 作業で失敗しすいのが、排水口付近と圃場の角の部分だ。特に、排水側の掘り始めが浅いと、水が圃場外へ出にくい逆勾配となってしまう。
 逆勾配を避けるには、施工時にトラクターの速度を落として丁寧に作業するとともに、浅くなりやすい箇所は、事前の均平作業やスコップなどでの掘り下げも行う。復田に影響がなければ傾斜均平も効果がある。最近の溝掘機では、圃場の角もバック作業で掘り下げできる。排水性が低い圃場は3〜10メートル間隔の圃場内明渠も有効だ。
 現場では堰板(せきいた)が取り付けられたままだったり、排水口がつながっていなかったりの例もあり確認が重要だ。また、排水口は、水稲の落水用では浅いため、圃場面から深さ30a以上に掘り下げる。
 「作業時点で全てをチェックできなくても、冬の農閑期などに対処できれば、春以降の雨対策になる」と渡邊グループ長。また、栽培期間中も、播種作業などで土が崩れて埋まっていないかなど点検・補修も求められる。
 ○圃場管理で品種の力引き出す
 明渠だけで排水しきれない圃場では、他の対策も追加する必要がある。地下水位が低ければ、深さ25〜50センチで踏み固められた不透水層に亀裂を入れるサブソイラーやプラソイラーなど耕盤・心土破砕が有効だ。チゼルやプラウによる深耕は深さ15〜25センチの作土層での隙間を増やし、滞水位置を下げる。耕盤・心土破砕と組み合わせると効果が高い。
 地下水位が高い圃場は本暗渠の施工が望ましい。補助暗渠でも、トラクターに装着して使う「カットドレーン」は、施工に適する泥炭土や重粘土であれば空洞を約3〜5年ほど維持できる。また、耕盤破砕や暗渠施工ができない圃場などは、播種位置を高める「畝立て栽培」が普及している。
 都府県の多収事例では、小麦10アール600キロ以上、大麦500キロ以上も珍しくない。圃場条件を整えることは、品種が本来持つ能力の発揮につながる。
 農研機構は『診断に基づく小麦・大麦の栽培改善技術導入支援マニュアル』をホームページで公開。多収を阻む要因を農家が簡便に診断・判定でき、排水対策のほか、土づくりや雑草防除など対応技術を紹介している。