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農作物被害防止へ

農業共済新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 政府は13日、今年11月から狩猟期間に「集中捕獲キャンペーン」を全国展開することを明らかにした。農産物への被害が大きい地域などを都道府県が「捕獲強化エリア」に設定し、捕獲者やわなを集中させる捕獲活動を展開。国は経費や技術、人材などを追加支援する。自民党で開かれた鳥獣被害対策特別委員会などの合同会議で説明した。野生鳥獣による農作物被害額は6年連続で減少しているものの、営農意欲の減退など被害額に反映されない影響も多く、捕獲目標達成に向けた対策の強化・継続が引き続き重要となる。

 A 2018年度の野生鳥獣による農作物被害額は、前年度比6億円減の約158億円だ。12年度以降は減少しているが、高い水準にある。
 B 被害額の6割以上を占めるのがシカとイノシシだ。政府は、推定生息頭数を23年度までに201万頭程度とする捕獲強化対策に取り組むが、達成には近年の年間捕獲頭数を20万頭上回る140万頭の捕獲が必要となる。
 A 都道府県では野生鳥獣の適正管理を図る計画を策定し、年間捕獲目標を設定している。ただ目標が未達成の都道府県も多く、実績が伴っていない。
 B 政府は、捕獲実績の引き上げに向けて都道府県の捕獲頭数目標を新たに設定・見直し、20年度の捕獲目標を前年度比18万頭増の136万頭とした。さらに今年から狩猟期間に合わせて「集中捕獲キャンペーン」を11月〜翌3月に展開する。シカとイノシシの被害増加地域や目標捕獲頭数との乖離(かいり)が大きい地域を、都道府県が捕獲強化エリアに設定し、捕獲者やわな、費用を広域的・集中的に投入する。政府は、鳥獣対策交付金の追加支援などを通じて後押しする。
 C 野生鳥獣による農作物被害は、特に中山間地域で多い。住宅地への侵入など農村の暮らしにも危害を及ぼしている。捕獲実績の向上には、広域的な対策が効果的だが、被害状況は地域によって差があり、対策実施の足並みがそろわないなどの課題もある。
◎イノシシが東北に/対策の見直し急務
 A 政府は、今年から被害額に現れない被害の負担感などを把握する調査に乗り出す。宮城、福井、群馬など5府県で、対策の実施状況を調査し、捕獲効果の把握など今後の対策に活用するとしている。
 B 農林水産省は、21年度予算概算要求で、鳥獣被害防止総合対策交付金に20年度当初予算比で60億円増の160億円を計上した。1頭当たり7千〜9千円の捕獲活動助成を拡充し、地域の平均捕獲頭数を上回ると最大2倍まで上乗せする仕組みを新設。地方財源など市町村の負担を減らしながら狩猟者などの捕獲意欲を喚起し、地域での取り組みを後押ししたい考えだ。
 C イノシシでは、積雪量の減少などの温暖化の進展に伴って生息域が北上し、越冬が難しいとされた青森県でも被害が増加している。特に捕獲数の増加が顕著な東北地方では、抜本的な対策の強化が急務だ。鳥獣被害対策関連予算を活用し、捕獲活動のサポート体制を構築するなど集中的かつ広域的な管理を図りたい。
 B 捕獲推進には、野生鳥獣の肉を地域資源とするジビエ利活用が不可欠だ。19年度のジビエ利用量は前年度比6.4%増の2008dと増加しているものの、政府が目標とする2600dには届かなかった。同省は、ジビエ利用量を25年度までに4千dに増やす目標を掲げているが、豚熱(CSF)感染確認地域での流通自粛などでイノシシ肉を出荷できない状態が続いている。
 C 鳥獣の捕獲強化には、わなの管理や見回りなど狩猟免許を所持しなくても捕獲に従事できる仕組みの構築が必要だ。岩手県遠野市では、農家を中心にしたシカ捕獲応援隊を設置。市町村や鳥獣被害対策実施隊と連携した捕獲体制を構築して捕獲頭数を5年間で約2.8倍に増加させた。地域の多様な担い手による参画を促し、農作物への被害を防ぐとともに、ジビエを地域資源として活用するなど重層的な取り組みが欠かせない。