仕入れなら業務用卸売市場Mマート

食品業界ニュース

付加価値対策の成功例に 日高の「銀聖」

水産新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 物産展やイベント出店、日本ハムファイターズ公式戦や北海道営競馬の
協賛、地元学校給食への無償提供……。日高管内の定置業者でつくる日高
定置漁業者組合は2001年5月に始動以来、秋サケのブランド「銀聖」の普及
に向け、幅広いPR活動を続けている。
 今年20年の節目を迎えるが「とにかく止まってはいけないとずっと走っ
てきた。節目も壁もない。
 定置漁業を続ける限り、PRは永久」。6人で編成する銀聖プロジェクト
委員会の委員長として活動を先導、現在組合長も務める佐藤勝さんは力を
込める。
 発端は「価格破壊」。輸入物の増大や魚離れなどで浜値が低迷する中、
消費者や流通業者に日高のサケをもう一度見直してもらうため、思い付い
たのが特長である銀毛のブランド化だった。

 ■活動の根幹深化
 魚価底上げの付加価値対策で始まった活動は、メディアや、東京、札幌
など全国各地で開催される物産展で消費者と接する機会を重ねるごとに
地域の活性化、水産業の理解促進、魚食普及など根底が深化していった。
 「自分たちの商売だけを考えるのでは駄目。また、日高だけではなく、
北海道の全浜がPRしなければ」。
 佐藤さんは2004年に全道の定置業者が集まった講習会で講師を頼まれ、
その思いを語り掛けた。
 「皆さんは自分の前浜で獲れるサケが一番おいしいと思っているでしょ
う。それが当たり前でそうでなければいけない。それぞれの浜でブランド
化すれば、北海道全体でPRできる。皆でやろう」。
 それから間もなく道内各地でブランドサケが誕生。
 さらにサンマ、ホッケなど他魚種でも独自の固有名詞を冠し、生産者
自らが取り組むブランド化が広がっていく。
 「銀聖」は先駆の役割を果たした成功例に位置付けられ、「コープさ
っぽろ農業賞」の漁業部門会長賞を受賞するなど業界内外で評価を獲得。
 「自分たちの活動は間違っていなかったと確信を持てた」。
 同時に「まがいものが出回っては信頼を失う」と、市場や百貨店など
を回り、調査も実施した。

 ■地域一丸で躍進
 その積み重ねで「ワンランク上のサケとして品ぞろえに欠かせない」
(量販店バイヤー)などマーケットに浸透し、他の銀毛サケより高値が
付く地位を確立。
 昨年の札幌市場の秋サケ初競りではメスがキロ1万円超え。
 原動力は商品開発、販路拡大に取り組む地元仲買・漁協の存在だ。
 「銀聖」は日高沖で獲れる3・5`以上の銀一色のサケに規格を設定。
 その選定はプロジェクト委員会で審査・承認した取扱指定業者が行い、
業者名のイニシャルと通し番号を入れたラベルを一尾一尾に貼付する形で
規格・品質を管理。全国公募で決めたブランド名、キャラクターの商標
登録と併せて安全・安心や信用面からも消費者にブランド価値を打ち出せ
る基盤を整えている。
「われわれ生産者だけでPRしても駄目で、売ってもらって買ってもら
わなければ。サケを扱う者同士、互いの生活をかけて連携していこうと
声を掛け、6社から始まった」。
 その後続々と申請が出され、昨年も1社増え、23社を数える。毎年漁期
直前の8月には合同会議を開き、商戦に臨んでいる。
 生鮮出荷のほか、山漬けなどの塩蔵品、スモークサーモン、フレーク、
生食製品などそれぞれの得意分野で消流拡大。出荷量は初年度の141・6d
からピークは600dに伸長した。
 「新しい活動があればチャレンジしていく。その種は常にまいている」。
 昨年11月中旬に農水省の「消費者の部屋」で9年ぶりに開かれたサケの
特別展示に足を運んだ際、農水省職員らと交流。
 「何か俺たちを呼んで取り組みたいことがあれば、いつでも声を掛け
て」。佐藤さんはいつものようにこう発信した。
 事務局長の清水勝さんも「ブランド化は継続」と強調。「将来的には
農業とのコラボ。全国各地の農協と連携し、互いにPR・販売活動を
できれば。それが夢。そのためにも資源の安定・増大に努めていく」。
 低水準の水揚げが続く秋サケ。1尾の価値を高める重要度は増している。
 「銀聖」の進化は止まらない。