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撲滅へ万全な対策を

農業共済新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 農林水産省は1日、「農林水産省豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部」を開催。本部長を務める江藤拓農相は「引き続き緊張感を持って国や行政、養豚農家やその関係者が連携した取り組みを維持してほしい」と豚熱(CSF)の撲滅に向けた対策徹底を呼び掛けた。国内で26年ぶりに豚熱が発生してから2年。3日には国際獣疫事務局(OIE)による「清浄国」認定を失った。輸出先の確保などへの影響が懸念されている。同本部では、飼養豚を野生イノシシから遮断する飼養衛生管理の順守に加え、野生イノシシの捕獲強化や感染豚と識別できる国産マーカーワクチンの開発などに取り組み、早期の再認定を目指す方針だ。

 A 豚熱は、2018年9月9日に岐阜県で発生し、愛知や三重、福井など8県で合計58事例が報告されている。本州では19年12月の愛知県での発生を最後に、沖縄県では20年3月の発生を最後に確認されていない。
 B 農林水産省は、19年10月に豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針を改訂し、8月末現在で25都府県をワクチン接種推奨地域に指定。飼養豚では福島県を除く24都府県で全頭を対象に予防的ワクチンの接種を実施する。接種推奨地域は野生イノシシの感染状況を踏まえて定期的に見直している。
 A 野生イノシシの陽性確認範囲は拡大している。8月19日時点で17都府県で発生を確認。5〜7月には新たに茨城や東京、神奈川で感染を確認するなど終息の見込みは立っていない。
 B 感染拡大を食い止めるには農場での防疫対策の強化が不可欠だ。農場へのウイルス侵入に野生イノシシなどの野生動物が大きく関与しているため、農場周辺に柵やネットを設置するなど侵入防止策を講じる必要がある。人・車両などの出入り対策では洗浄・消毒を徹底。豚熱には特徴的な症状がないため、早期発見に向けた観察に努め、異変を感じたらすぐに通報することも必要だ。
 C 同省は8月31日に開いた牛豚疾病委員会で、福島県境から約20`の群馬県内で感染した野生イノシシが見つかるなどウイルスの侵入リスクが高まっているとして、福島県をワクチン接種推奨地域に追加した。東北での推奨地域追加は初めて。野生イノシシの調査・監視や捕獲強化、経口ワクチンの散布などの対策も引き続き講じていく。
 A 豚熱の発生を受けて一時停止していた清浄国の認定は3日に消失した。
 B 同省は、台湾を除き2国間協定によって豚熱発生前に取引していた五つの国と地域への輸出は再開しているとし、非清浄国になっても影響は少ないとする。ただ米国や欧州連合(EU)など新たな輸出先の開拓には、清浄国である方が有利だ。清浄国であれば非清浄国からの輸出解禁要請に対し、有利な立場で交渉できるため、早期の清浄国復帰を目指す考えだ。
 C 清浄国に復帰するには@過去12カ月間、飼養豚での発生がないことA過去12カ月間、飼養豚へのワクチン接種が行われていない――などの要件をクリアする必要がある。同省は、野生イノシシの捕獲強化や経口ワクチンの適切な散布に加え、ワクチン接種による抗体であることが識別できるマーカーワクチンの国産開発に力を入れる。
◎危機に直面との認識共有が必要
 B 7月に施行された改正家畜伝染病予防法では、国が策定する飼養衛生管理の指導指針に基づいて都道府県が指導計画をまとめる制度を新設。家畜の所有者や行政、関係事業者の責務を明確化するほか、農場ごとに責任者を選任するなど飼養衛生管理基準の順守徹底を図っている。
 C アジア13カ国・地域を含む世界64カ国・地域では、致死率が高く有効なワクチンや治療法がないアフリカ豚熱が猛威を振るっている。新型コロナウイルス感染症に伴う諸外国の渡航制限が解除されれば国内への侵入リスクが高まる。水際対策の徹底に加え、農場での防疫対策に万全を期す必要がある。飼養豚での発生が沈静化しているからと安心せず、国内養豚は危機に直面しているとの認識を共有し、農家と団体、行政が連携した一体的な防疫対策の展開が求められる。