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農業者の経営を支える

農業共済新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 農林水産省は6月24日、収入保険の実施状況を発表した。2020年4月末時点で全国で3万4723経営体が加入。19年1月からの加入者の申告に基づき、3049件、72億円の保険金を支払った。迅速な貸し付けで保険期間中の収入減少を補う「つなぎ融資」を36億円貸し付け、農業者の経営安定を支えている。外国人実習生が来日できない、学校給食の休止など新型コロナウイルスによる収入減少に対しても4月末時点で4件に5千万円を貸し付けている。21年1月からは、野菜価格安定制度から移行する場合、1年間は同時利用を可能とするなど加入しやすくなる予定だ。NOSAIは、経営のセーフティーネットである収入保険を全国の農家に届けるべく加入推進に全力で取り組んでいる。

 収入保険は19年1月に保険期間がスタートした。4月末時点の加入件数は、加入要件である青色申告を行う農業所得者の7.5%に当たる。内訳は個人が
3万1803経営体、法人が2920経営体。
 19年と比べ個人が1万1501経営体、法人が410経営体増加した。
 品目別では米が2万2033経営体と最多で、野菜が1万6098経営体、果樹が1万2127経営体と続く。保険金算定の基となる加入者の基準収入の平均は1600万円で、個人の平均は1300万円、法人の平均は4千万円だった。
 保険金などの支払件数は、19年の加入者全体(2万3千経営体)の
13.4%に当たる。個人経営体は、2915経営体に1件当たり平均で
210万円、法人経営体は134件に平均760万円を支払った。
 保険金などの支払い前に無利子で資金を貸し付け、加入者の資金繰りを支援する「つなぎ融資」は、1件当たりの平均金額は個人経営体が370万円、法人経営体が1020万円だ(4月末現在)。
 収入保険は現在、野菜価格安定制度や収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)などの類似制度とは同時加入できず、選択加入制となっている。ナラシ対策、果樹共済の加入者に占める収入保険への移行割合が大きくなった。ナラシ対策の加入者8万8千人のうち13.2%に当たる1万1605件、果樹共済の加入者
5万5千人のうち10.5%に当たる5801件が収入保険に移行した。
 ナラシ対策から移行した加入者からは、「収入保険は自分の売り上げを用いるので、経営実態に合った補てんがされる」「ナラシ対策と農業共済制度のセット加入よりも、収入保険の方が掛金が安い」といった声がある。野菜価格安定制度からの移行者からは、「価格低下だけでなく、自然災害による収入減少などにも備えられる」と評価されている。
 一方で、収入保険について農業者からは「掛け捨ての保険料などの負担が大きい」との課題も挙がる。今年1月から保険期間が始まる加入から、補償の下限を選択すると、保険料を最大約4割安くできる仕組みが導入され、279件が選択した。付加保険料が一定額を超えた場合、軽減する仕組みも検討されている。
 また、21年1月から始まる野菜価格安定制度との同時利用は、「野菜価格安定制度の脱退手続きなどで事務負担が重い」との意見を踏まえた。同時利用の場合、収入保険の農業収入金額の計算に野菜の販売金額だけでなく、野菜価格安定制度の補給金も含めることで両制度の補てんの重複を避ける。
 3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」でもその役割が明記されるなど、収入保険は、農業経営安定の柱として期待されている。農業保険法では、22年をめどとして、収入保険を含む農業保険制度の在り方を野菜価格安定制度など関連政策全体とともに、農業者のニーズを踏まえて検討し、必要な措置を講ずるとしている。
 NOSAIは本年度からJA、集荷業者、農業会議、法人協会などの関係機関と推進協議会を構築するなど、加入推進を一層強化し、目標とする10万経営体加入の早期達成を目指す。