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送り出し国の理解など課題

全国農業新聞
写真はイメージです。記事とは関係ありません。
 深刻な人手不足に対応するため2019年4月、14の特定産業分野で導入された在留資格「特定技能」が1年を迎える。労働力不足に悩む農業現場では新制度への期待が高いが、国内外での制度の浸透やノウハウ周知には課題もあり、有効活用には一定の時間が必要となりそうだ。

 農業分野の特定技能1号在留外国人は2019年12月末で292人(耕種226人、畜産66人)。9月末の31人から増加し、その後も認定手続きが進んでいるが、現時点の受け入れ数は5年間での政府受け入れ見込み数3万6500人の約0.8%にとどまる。国内では受け入れ環境の整備が進むものの、送り出し国によって送り出しの仕組みや手続きが異なる上、同制度への理解が十分進んでいない国もある。
 技能実習2号を修了していない外国人材が特定技能で就労するためには、農業技能測定試験と日本語能力試験(N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト)に合格することが必要となる。農業は「耕種農業」「畜産農業」の2科目からの選択制で、農業現場で必要な日本語を聴き取る試験と合わせ試験会場のパソコンで回答する方式で実施している。

 農水省補助事業により実施主体となっている全国農業会議所は、試験環境の整った国から順次試験を開始。2019年10月以降、これまでにフィリピン、カンボジア、インドネシア、ミャンマーの4カ国で試験を実施してきた。このほか、農業分野の技能実習生の主要な送り出し国であるベトナム、中国、タイといった国々でも、試験環境が整い次第実施する予定だ。
 一方、同会議所は国内試験を3月2日から全都道府県で開始した。技能試験は1月30日に出入国在留管理庁が新たな試験方針を策定。4月1日以降、過去に中長期在留者として在留した経験がない外国人であっても、受験を目的として「短期滞在」の在留資格で入国し、受験することが可能になるため、2020年度以降、国内でも受験者数の増加が見込まれる。
 外国人材を活用する経営者にとって、海外や国内他産業との人材獲得競争が激化する中で、報酬をはじめ住宅・医療など生活にかかわる受け入れの態勢と環境整備をさらに進める必要がある。専門的・技術的分野に位置付けられる特定技能外国人は、経営発展に向けた即戦力として期待が高い。技能実習生を指導する役割も期待されることから、賃金の引き上げやリーダー登用などでキャリアアップを実現することも重要だ。

 2019年3月には関係省庁や団体で構成する農業特定技能協議会が発足。各地域で組織される地域協議会とともに優良事例や受け入れ上の課題などの情報を共有し、適切な受け入れに向けた環境整備が進んでいる。協議会での課題の共有と構成員間の協議を通じ、外国人材が意欲を持って働くことのできる適切な受け入れが期待される。